パワハラの有罪判例から学ぶ気を付けたい7つの言動

パワハラの有罪判例から学ぶ気を付けたい7つの言動

パワハラと聞いて多くの人が思い浮かべやすいのは、上司が部下に執拗に叱責をし、部下が精神的な屈辱を受けるという状況ではないでしょうか。

実際にそのような判例も多く、また告訴までしなくてもそのような状況になった事がある、聞いた事があるという事例も数多いと思います。

言い方が多少乱暴であっても、業務内容から外れていなければパワハラとは言えないとされることもあり、また乱暴な言葉も1度きりではなく何度も何度も繰り返されるような事があればパワハラに該当することもあります。

こういった叱責・侮辱・脅迫により身体的な傷がなくても精神的な障害を患うことも少なくありません。

今日は指導のつもりで行った言動がパワハラと受け取られていないか、また身近で見た対応がパワハラなのではないかと疑問を持っている方へ、どんな発言や行動がパワハラと認められるのかについての判例をご紹介致します。



 

パワハラの有罪判例から学ぶ
気を付けたい7つの言動

 

普段から態度が目に余る部下


”お前ふざけんなよ””店に来んなよ、辞めろよ””この野郎”などの上司の強い暴言により、損害賠償義務を負ったある企業があります。ここだけを切り取ればもちろんこの上司の強い攻撃が問題なのですが、実はこの案件はパワハラを受けたとされる従業員が上司に相談をしていた件で上司が予定より早く出勤し話をしようとしていたにも関わらず、自分の退勤時間を過ぎた事を理由に帰宅しようとしたことから上司が激しい口調になったそうです。それだけでなく、この従業員は自分の要望だけを押し通したり、顧客とトラブルになりお客様相談室に苦情を入れられるなど普段から目に余る行動がありました。裁判所からは日頃の原告の態度や性格が嫌われたと認定されたものの、このように普段から問題を起こしコミュニケーションが取れていない従業員に対しても、たった一度の強い暴言により有罪となった判例もあります。

 

スタッフ同士のもめ事


ある”店長代行”という立場の従業員が、他のスタッフも閲覧できる書面で店長の不備を強く指摘し、それをさらしものにされたと感じた店長が店長代行に説明を求め、その態度に腹が立ち暴力をふるいました。店長代行はこの暴力事件に対する報告書の開示を求め管理部長とやり取りをしていました。ところが精神障害、神経症である旨医師からの診断を受けたことを知っていながらも管理部長から”いいかげんにせいよ、ぶち殺そうかお前”などの暴言を受け、これにより外傷後ストレス障害を患ったと主張し、会社と店長に対し不法行為として損害倍書を求め、パワハラとして慰謝料請求が認められました。このように事件の発端が自分ではなくても、その後の対応ひとつで自分が訴えられてしまったという判例もあります。どのような失礼な言葉を吐かれても、暴力・暴言を返すことは正当な理由にはなりません。

 

担当部署が変わり侮辱されたとして


ある結婚式場で10年働いた後、パートスタッフとして労働契約を結んだ従業員が、一度契約を更新した後雇い止めをされました。それでは困ると、地位保全の仮処分を申請したらそれが容認され、さらに再度労働契約を結ぶ事ができましたが、いざ職場復帰をしてみると今までの衣装担当ではなく、床拭きや草むしりなどの業務に従事させられることになりました。その結果体を痛め通院し、労災保険給付を受け、欠勤を余儀なくされました。その後、勤務可能となり復帰を求めましたが認められなかったため、賃金・慰謝料の支払いを求め訴訟となった判例がありました。本来予定されていない業務を命じた事、通常は必要に応じて行っていた床拭きなどの雑務をあえて命じたのは、合理的な理由が無く、見せしめとしか解しようがない事などが不法行為にあたるとして慰謝料請求が認められました。このように直接暴行を加えたり、暴言を吐いたりしなくてもパワハラとして認められる判例も多数存在します。

 

有給休暇が認められない


塾講師を勤めるある従業員が有給申請をしたところ、月末にも有給申請をしている事から”どうしてもとらないといけない理由があるのでしょうか””こんなに休んで仕事がまわるのなら、会社にとって必要ない人材なのではないでしょうか””そんなに仕事が足りないなら仕事をあげるから”などの発言をし、この塾講師は有給申請を取り下げました。さらに会社の代表は社員集会において、”あんなものはパワハラとは思わない””今後有給休暇はよく考えてから取るように”などの発言がありました。地位を利用して有給休暇取得申請の取下げを強要することや、使用者が有給の取得を妨げる事はできないとして、違法性があると認めら慰謝料請求が命じられました。有給休暇は使用人の承諾なくして成立するものなので、たとえ強い暴言などがなくてもパワハラとして認められます。

 

場を盛り上げるつもりがパワハラに


ある化粧品販売会社で商品販売目標を達成できなかったとして、美容部員に対し定例的に開催されている研修会において罰ゲームとして数種類のコスチュームを選択・着用させ無断で撮影、別の研修会においてその姿をスライドに投影したとして、被害に合った女性社員が訴えを起こすという判例があります。このような罰ゲームを予定していながら、対象者である原告に確認せず、その場で覚悟する時間もないままコスチューム着用を求めた事、原告がそれを拒否するのは困難な状況であったこともふまえ慰謝料の支払いが命じられました。上司や会社はほんの遊び心として実施したゲームであることを主張しましたが、目的を達成する手段としては相当ではなく、原告に心理的負担を負わせる行為であるとして退けられました。場の雰囲気を和ませるつもりで行われたレクリエーションであったかもしれませんが、それがパワハラになるということも十分にありえます。

 

酒の強要


パワハラを受けた事が原因で精神疾患を発症、休職した後に自然退職扱いになったとして賃金を求めて提訴した判例がありました。具体的なパワハラとは、反省会の席で酒を強要しこれに応じた原告が嘔吐したにもかかわらずさらに執拗に飲酒を要求したこと、飲酒により体調不良を訴えるも無理に運転を強要したこと、精神的苦痛を与えるようなメールや留守電を残した事などが不法行為にあたるとして慰謝料の支払いが命じられました。パワハラが原因の精神疾患であるということは認められず、自然退職についても不当な点は無いとして請求は退けられましたが、それ以外の行為が不法行為に該当すると判断されました。

 

教育訓練がパワハラに


ある鉄道会社の職員であり国鉄労働組合の組合員であった一人の男性が身につけていたベルトのバックルに国鉄労働組合のマークが入っているとして上司に取り外すよう命じられましたが「就業規則なんか知らない」と反発しこれに応じませんでした。その為区長から就業規則の書き写し、読み上げ、感想文の作成という教育訓練が命じられました。この就業規則の書き写しは区長の机の前ので行われ、途中手を休めると怒鳴られたり机を蹴るなどされ、湯茶を飲む事や用便に行く事も許されませんでした。翌日も体調不良を訴えるも認められず、出社するが何度も腹痛を訴えてようやく病院に行き1週間ほど入院することとなりました。原告はこれは就業規則違反ではなく、業務命令をの範囲を逸脱しているとして慰謝料の請求をしました。区長の言動は必要以上の心理的圧迫感や拘束感を与えるものであり、健康状態に対する配慮に欠けるところが多分にあったとして慰謝料の支払いを命じました。

 

いかがでしたでしょうか。

実際の判例を見てみると、1つの事柄だけを取り上げているのではなく様々な出来事が重なって訴えているということがわかります。そして、必ずしも10対0でどちらかが悪いというわけではない事例も多数あります。どんな仕事も誰かと関わらずにはできません。1つの言葉をどう捉えるかは人によって実に様々です。パワハラと感じてしまう事、パワハラと感じさせてしまう事が自分の身に起こるかもしれないという事を頭において誠実に人と関わっていきたいものですね。

 

まとめ

パワハラの有罪判例から学ぶ気を付けたい7つの言動

・普段から態度が目に余る部下
・スタッフ同士のもめ事
・担当部署が変わり侮辱されたとして
・有給休暇が認められない
・場を盛り上げるつもりがパワハラに
・酒の強要
・教育訓練がパワハラに

 

彩~Sai~